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- ①歯を抜かなければならない
- これはインプラント治療同様、All-on-4でも歯を抜く必要があります。また、術後はお口が腫れてしまう可能性も高いです。お身体への負担はゼロではありません。
- ②メンテナンスは必要不可欠
- 治療終了後も長期のメンテナンスが必要になります。
お口の健康のためには必要不可欠です。
- ③慎重な医院選択が必要。術者の高い技術が必要である。
- インプラントの治療は手術が必ず必要であるため、術者の技術力が低いと満足できる治療を受けることはできません。 歯医者選びは慎重に行うことが大切です。
~戦略的抜歯について~
インプラント治療は有効な治療法の一つです。ただ最も大切なことは、天然歯(ご自身の歯)をできるだけ長持ちさせることで、そのことに疑いはありません。私は歯科医師として偏った診断をしないように、インプラント学会のみならずさまざまな学会に所属し、世の中の歯科治療の流れを中立な立場から見ているつもりです。ただ、どうしてもインプラントの力を借りなければならない症例にしばしば出会います。歯をすべて失った無歯顎症例にはインプラント治療は力を発揮します。
最近では、All-on-4というインプラントシステムがあります。この技術はリスボン(ポルトガル)で開業されているポール・マロというDr.が開発しました。彼はとてもすばらしいDr.でこの治療方法で数多くの患者様を救ってきました。それまでは1顎すべての歯を失った場合にはたくさんのインプラントを埋め込むのが一般的でした。彼はそのような場合にも最小限度の4本(症例によっては上顎では5~6本必要)のインプラントをうまく配置し、奥歯までの12本の歯を支えることを考え出しました。さらにすばらしいのは、インプラントを埋めたその日に、仮歯を装着するために、すぐに食事ができることです(即時負荷)。仕事をお持ちの方でも、すぐ社会復帰できるためにその意味はとても大きいと思います。数か月後、最終的な歯肉付きブリッジタイプの人工歯が装着されます。(下図)
すでに総入れ歯(義歯)を使用中で残っている歯がない場合は問題がないのですが、当医院に相談に来られるたいていの場合は重度歯周病で歯がぐらぐらしてきたとか、過去に治療したBr(ブリッジ)の再治療が不可能だと言われたような患者様です(下図)。当然、明らかにぐらぐらしている歯や根っ子を再使用できないような歯は抜歯になります(×と診断された歯)。その後に問題になるのが、△と診断できる歯です。もうしばらく使えそうだが、長くはもちそうにない歯など。そのような△の歯は長期的なインプラント治療計画を考えた時に、残すべきなのか、それともいっしょに抜歯すべきなのかしばしば迷います。そんな時、△の歯を積極的に抜歯していくことを戦略的抜歯と言います。患者様と十分に話し合った結果、 All-on-4のような治療計画を立てるためにかなり○に近い歯まで積極的に抜歯する場合もあります。
それでは参考までに下の図を見て下さい。図1と図2は上顎のケースで、図3と図4は下顎のケースです。上顎の図1では5本、図2では4本の歯がなんとか残せそうな状態を示します。下顎に関しても同様で、図3では3本、図4では5本の歯がなんとか残せそうな状態を示します。それぞれの歯を残し、間にインプラントを埋め込んだ治療計画模式図を下に示します。下に埋入必要本数も明記しました。もしこれらのインプラント治療計画で治療完了し、それから数年後、なんとか残した歯にトラブルが発生した場合には、また追加インプラント治療が発生する可能性が考えられます。結果的にAll-on-4以上に全体的費用負担が大きくなり、手術回数が増える可能性も推測されます。
とうことで上記の図1~4のケースですべての歯を抜歯して、本当にAll-on-4にした方がいいのかは慎重に話し合う必要があります。最後まで、ご自身の歯ですので遠慮なくご相談下さい。
All-on-4には2種類の手術アプローチ方法があります。フラップ法(切開法)とフラップレス法(非切開法・鍵穴インプラント)です。最近では手術侵襲(手術後の腫れなど)が小さく、手術時間が短く済むフラップレス手術が患者負担が小さいということで好まれます(下図)。ただ安易に見えない部分を手術用ガイドを使用しフラップレス手術をすすめるとすれば安全性の保障はありません。どちらかというと手術経験の少ない先生がフラップレス法を優先させる傾向にあります。
またフラップレス法においては、重度歯周病などで残存歯が崩壊しかかり悩まれている患者様は手術用ガイド使用のために、先に抜歯のみを行い、しばらくの間総入れ歯(義歯)で生活しなけらばならないことが欠点です。仕事をお持ちに患者様にはとても不自由な期間といえます。逆に総入れ歯(義歯)の使用期間を短くするために、歯肉の下の骨が十分に治癒していないにもかかわらず、早期に手術用ガイドによりフラップレス手術を行うことは非常にリスクがあります。歯肉の下の見えない部分でインプラント体が骨から露出している可能性も否定できません。現実的にはそれぞれの適応症がありますので、両面から慎重に検討する必要性があります。当院ではどちらの手術方法においても対応可能ですので、遠慮なくご相談下さい。
フラップ法(切開法):従来通り、歯肉切開を行い直接骨の状態を確認しながらインプラント埋入を行っていく方法です。
(1)
ガイドの設定が不要なために、残存歯が残っていてもすぐに抜歯から埋入手術を行える→総入れ歯(義歯)の使用期間がない(固定式の歯がない期間がない)
(2)
骨を直接調整しながら埋入することができるので、抜歯してから早期に埋入手術を行うことが可能。場合によっては骨移植などを同時に行うことも可能。注)骨が治癒していないのに、フラップレスで‘どさくさ’にインプラントを埋入するのは長期的予後を不安定にする
(1)
フラップレス手術と比べて手術時間が長くなる
(2)
フラップレス手術と比べて手術侵襲(術後の腫れなど)が大きい
(3)
Dr.の技術が要求される
フラップレス法(非切開法・鍵穴インプラント):術前にCT撮影を行い、CTデータから手術用ガイドを作製し、それに従って歯肉に穴を開け、ドリルをすすめインプラントを埋入していく方法です。
(1)
フラップ手術と比べて手術時間が短縮される
(2)
フラップ手術と比べて手術侵襲(術後の腫れなど)が小さい
(3)
術式自体は簡便。注)使用方法によってはリスク増
(4)
もともと総入れ歯(義歯)の場合にはメリット大
(1)
手術経験の少ないDr.が安易に使用するとリスク大
(2)
手術用ガイドの設定が必要なために、残存歯が残っている場合には手術に先だって抜歯が必要。しばらくの間、総入れ歯(義歯)の使用期間があり、不自由な生活となる。
(3)
見えない部分に、抜歯してから早期に埋入手術を行うことは危険。歯肉を開かないために、骨移植などに対応できない。注)入れ歯(義歯)の使用期間を短くしたいとうことで、骨が治癒していないのに、フラップレスで‘どさくさ’にインプラントを埋入するのは長期的予後を不安定にする
海外では、インプラント手術直後に最終上部構造ブリッジを装着する『teeth in an hour』とう方法が報告されています。それは手術前に下図のような金属フレームとその上に最終人工歯を準備して、いきなり治療を終了にむかわせる治療のことをいいます。 |
ただ、この方法は埋入インプラントと最終上部構造ブリッジの間の誤差を許容してくれません。もし小さなエラーがあるとしたら、無理やり人工歯をねじ込むことになり、将来的にインプラント周囲の骨吸収を引き起こす可能性があります。また、ネジやブリッジの破損、もしくはインプラント体の破折の可能性もあります。下の図はフレームの不適合を示す模式図です。
ということで、最終上部構造Br(ブリッジ)はネジ止め構造で、定期検診時に取り外して清掃可能な構造に仕上げます。ネジ止め構造の長いBr(ブリッジ)は適合させる高度な技術を要します。医院によっては、技術や経費の問題で左図のような仮歯のような上部構造Br(ブリッジ)に金属補強をして簡単に最終仕上げとしている医院もあるようです。長期的なインプラントの安定を考える上で、上部構造の種類も理解されることをお勧めいたします。 |
もともとAll-on-4において、最小4本のインプラント体で咬合を維持できる理由は上部構造Br(ブリッジ)の適合精度とたわみに対するフレーム強度と考えております。従って長期予後を考える上で、最終上部構造のクオリティーはとても重要で、審美性においても幅があります。外科(手術)の部分と補綴の部分の両面が重要だと考えております。下図は当医院での各種最終上部構造Br(ブリッジ)を示します。参考になさって下さい。
【患者】51歳 男性
【主訴】
下の歯すべてを抜いて固定式の歯を入れて欲しい。All-on-4インプラント治療希望。費用をできるだけ安く抑えて欲しい。
【来院動機】
かかりつけ歯科医院で多数の抜歯を宣告される。上は入れ歯でもかまわないが、下はしゃべる仕事なので会話を考えてインプラントを使用した固定式の歯を希望され来院。
【当院での見解】
○患者様の社会生活を守るために即時負荷インプラント治療を決断。抜歯した当日にすぐ固定式仮歯を装着して帰宅して頂く。(下顎all-on-4)
○費用の問題もあるので、とりあえず上は安価な義歯を装着。将来的に希望があれば再度上顎もAll-on-4への変更対応可能。
(1)初診時の口腔内です。ブラッシングの状態はよくありません。清掃不良の患者様にはまず、歯ブラシの練習から治療を開始するのが一般的ですが、緊急対応の必要性があるために患者様と話し合いの結果、早期にAll-on-4による手術を計画しました。
(2)すぐにCT撮影を行い、抜歯即時負荷インプラントでAll-on-4を行いました。残存歯が残っている状態では、ガイドを利用したフラップレス手術(非切開法)での対応は不可能です。フラップ手術(切開法)直後に固定式の仮歯を装着し、できるだけ早く患者様が社会復帰できるように対応いたしました。
(3)例えば建築物と同じように、柱の配置には大きな意味があります。All-on-4ではインプラント本数を最小限度にするために、奥歯に近い部分のインプラントは約30度傾けます。咬合力に対する上部構造Br(ブリッジ)の耐久性と神経などの解剖学的制限の両面へ配慮された設計です。
下顎においては約3カ月間、患者様にはとりあえずの仮歯で社会生活を過ごして頂きました。その後、インプラントの安定した状態が確認できましたので、最終上部構造Br(ブリッジ)を装着しました。