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上図で示すように、一般的に上顎臼歯部の歯(奥歯)が喪失すると上顎洞(副鼻腔)との関係によりインプラント植立に必要な骨の高さが減少します。その骨の高さの範囲でインプラントの長さを収めたいのですが、最近流行のショートインプラント(最も短いインプラント)で6~7mmです。逆に、短いインプラントを入れることができる場合でも、咬合力の強い方では長期的な荷重に耐えられるのかも考慮する必要があります。実際の臨床では、10mmのインプラントを埋入すると仮定して,残存骨が0~6mmの範囲では、積極的なサイナスリフト(ラテラルウィンドウアプローチ)が必要になってきます。積極的なサイナスリフト(ラテラルウィンドウアプローチ)では上顎洞の側壁を開創して骨を移植しますので、手術侵襲(術後の腫れ)も大きく、技術も要求されます。そのあたりがしばしば耳にする『今、通っている歯医者では下のインプラントはできるみたいだけど、上は入れ歯しか無理だと言われた』などの理由です。
それでは、当院で日常的に行っているサイナスリフトインプラントケースを本数別にピックアップして3つご紹介いたします。学会などの報告では、通常のインプラント治療の成功率は95%以上、サイナスリフトを伴うインプラント治療は90%前後と報告されています。サイナスリフトで移植された骨の生着を評価する上では上部構造が連結構造ではない1本のケースが理解しやすいと思います。
CASE1)サイナスリフトを伴う1本のインプラント埋入治療ケース
『残存骨の垂直的高さ4~5mm』
CASE2)サイナスリフトを伴う2本のインプラント埋入治療ケース
『残存骨の垂直的高さ2~4mm→チタンプレートテクニック』
CASE3)サイナスリフトを伴う3本のインプラント埋入治療ケース
『残存骨の垂直的高さ4~5mm』
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【患者】 |
41歳 女性 OL |
【主訴】 |
左上の歯が抜けた |
【来院動機】 |
かかりつけ歯科医院に歯周病の治療で定期的に通院していた。しかし、だんだんとぐらぐらになり抜けた。ブリッジ治療を希望したが、奥歯の状態もあまりよくないので、負担を考慮してブリッジにはしないほうがいいと言われた。インプラントの話をされたが、レントゲンを撮影したところ骨の厚みがないので、その歯科医院では対応不可能と言われた。セカンドオピニオンを含めて数件の歯科医院を受診するも、あまり積極的にインプラントをすすめる歯科医院はなかった。インプラント最終相談で来院。 |
【当院での見解】 |
○ 簡単なレントゲン所見では、骨の高さの喪失が大きく認められた。たぶん、前医がぎりぎりまで歯を保存する努力をしていたことが推測される。 ○ まずできるだけ軟組織の治癒を待ち、CT撮影による上顎洞内の精査が必要だと判断された。(鼻炎・蓄膿などの既往歴の確認) ○ 隣在歯(近接する歯)も弱っているため、前医のブリッジを避ける診断は正しいと判断した。長期的なことを考慮し、弱っている隣在歯を守るためにもこの部位でのインプラント治療には意味があると判断された。 ○ CT撮影を行い上顎洞内の診査及び、インプラント埋入骨量を診査したところ、4~5mmの骨の高さが認められた。 ○ CTの情報から、サイナスリフトラテラルウィンドウアプローチ(骨移植)の必要性を判断・説明した。 ○ 隣在歯も弱っているために、将来的に抜歯の可能性があると判断した。そうなった場合の追加インプラント手術も視野に入れ、弱っている隣在歯の付近まで骨移植を行う必要性があると判断された。 |
【手術中(サイナスリフト→インプラント埋入)】
予定どおり、上顎洞の側壁を最小限度の大きさで開窓し骨移植を行った。インプラント体を固定できる残存骨の高さが4~5mmあるので、同時にインプラント埋入も行った。
【手術中(2次手術)】
約6ヶ月後の2次手術時、インプラント体と骨との結合確認ができた。骨移植時に開窓した上顎洞側壁部は新しい骨が再生され満たされていた。
【最終上部構造】
粘膜の治癒後、仮歯を装着して一定期間使用して頂いた。インプラント体に異常はなく、患者様はしっかりと噛めるということで最終上部構造セラミック冠を作製・装着した。
定期検診時のレントゲン写真でも安定したインプラントの状態が確認できた。
外科&補綴医 |
詫間俊夫 |
麻酔医 |
大下修弘 |
技工士 |
真鍋知房 |
手術管理衛生士 |
西紋弥和 / 辻美紀 |
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【患者】 |
52歳 男性 会社役員 |
【主訴】 |
左側で咬むと痛む |
【来院動機】 |
最近、左側で咬むと痛みがあり食事に不自由していた。かかりつけ歯科医院で診断をうけたところ抜歯を宣告される。特に上のブリッジの痛みが強かったのだが、レントゲン診査によると左下の部分も同じ状態であると告げられる。かかりつけ歯科医院にてインプラントの相談をもちかけると、いちおう行っているが、骨移植を伴うような症例は積極的に対応していないということで、入れ歯を勧められた。インプラント相談で来院。 |
【当院での見解】 |
○ レントゲン所見から、上顎は抜歯後かなり骨の高さがなくなることが予想されるのでサイナスリフトラテラルウィンドウアプローチ(骨移植)の可能性・必要性を説明した。インプラント治療を行うには半埋伏小臼歯の抜歯も必要になる。 ○ レントゲン所見から、下顎においても骨移植を伴うインプラント手術の必要性がある。 |
【上顎手術中(サイナスリフト→インプラント埋入)】 |
【下顎手術中(インプラント埋入)】 |
【手術中(2次手術)】
約6ヶ月後、固定用チタンプレートを除去しインプラント体と骨との結合確認を行った。上顎の骨移植時に開窓した上顎洞側壁部は新しい骨が再生され満たされていた。下顎においても固定用チタンプレートを除去すると、骨移植した部分には新しい骨が再生され、インプラント体と骨との結合が確認できた。
【最終上部構造】
粘膜の治癒後、仮歯を装着して一定期間使用して頂いた。インプラント体に異常はなく、患者様はしっかりと噛めるということで最終上部構造セラミック冠を作製・装着した。下図は模型上での緊密なかみ合わせをチェックしている状態を示す。
定期検診時のレントゲン写真でも安定したインプラントの状態が確認できた。
外科&補綴医 |
詫間俊夫 |
麻酔医 |
大下修弘 |
技工士 |
真鍋知房 |
手術管理衛生士 |
西紋弥和 / 辻美紀 |
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【患者】 |
47歳 女性 ピアニスト |
【主訴】 |
左上にインプラントを入れて欲しい |
【来院動機】 |
約半年前にかかりつけ歯科医院で左上の歯を3本抜歯した。その歯科医院では上のインプラント治療は行っていなかったので、とりあえず入れ歯を作ってもらった。しかし、吐き気が強く、入れ歯のバネ(クラスプ)の見かけが悪いのでほとんど使用しなかった。ところが最近、口を開けるたびに顎がガクガクするので、インプラント治療を視野にいれた診察希望で来院。 |
【当院での見解】 |
○ 左上の欠損(歯が抜けた状態)を放置していたために、かみ合わせがずれて顎の関節の異常症状があると考えられる。インプラントのような固定式の治療で、早期にかみ合わせの左右バランスを取り戻す必要性があると考えられる。 ○ レントゲン所見から、ある程度骨の高さが残っている部分と抜歯後、骨の高さを失っている部分が認められた。くいしばり癖もあるということから、インプラントを複数本埋入する設計を行い、サイナスリフトラテラルウィンドウアプローチ(骨移植)が必要であることを説明した。 |
【手術中(サイナスリフト→インプラント埋入)】
予定どおり、上顎洞の側壁を最小限度の大きさで開窓し骨移植を行った。インプラント体を固定できる残存骨の高さが4~5mmあるので、同時にCTデータの手術シュミレーションどおり3本のインプラント埋入を行った。
【最終上部構造】
粘膜の治癒後、仮歯を装着して一定期間使用して頂いた。インプラント体に異常はなく、患者様はしっかりと噛めるということで最終上部構造セラミック冠を作製・装着した。
定期検診時のレントゲン写真でも安定したインプラントの状態が確認できた。
外科&補綴医 |
詫間俊夫 |
麻酔医 |
大下修弘 |
技工士 |
真鍋知房 |
手術管理衛生士 |
西紋弥和 / 辻美紀 |